1日の平均的な値動きを意味するATRの使い方を解説

FXトレードをする際に、価格が変動をしてくれないと、利益が出せませんし全く退屈な時間を過ごすことになります。
この値幅の変動をボラティリティと言います。

ボラティリティ(通称ボラ)は通貨ペアの性質によって異なりますが、時間帯や時期によっても異なります。

また、ボラは経済指標の発表や天変地異によっても変動幅は変わり、急激な負の変動によりロスカットされてしまう危険性も有ります。
トレーダーは、取り扱う通貨ペアが、「平均的に1日どれ位の値幅で動くのか?」を知っておくことは大事で、それによりエントリーとターゲットとなるクローズ位置を決める要因になります。

MT4標準搭載のオシレーター系テクニカル指標であるATRは、 1日の平均的な値動きの変化をサブウインドウにラインで描きます。
今回はATRの使い方を解説いたします。

ATRを解説

ATRはRSIやADXの開発者として有名な、J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニアが1970年代半ばに開発した、オシレーター系テクニカル指標です。
ATRはAverage True Rangeの略になり、平均的な1日の値動きを意味します。

その効果により一日のマーケットでボラティリティ(変動値幅)を把握するのに使え、高値圏・安値圏を予測することにも役立ちます。
トレードする環境においてはスプレッド以上に値が変動しないと不利ですので、ATRが高いほどトレードとしては有利な状況になります。

逆にATRが低いということはスプレッドを考慮すると不利なトレード状況です。
ということでATRが高いほど時を狙ってトレードする際の指標として役立てると良いかと思います。

ATRをMT4に適用させる

MT4を起動させて、トレードをする通貨ペアを表示させて下さい。

ATRをMT4に描画
メニューバーの「表示」⇒「ナビゲーター」をクリックしてナビゲーターウインドウを開きます。

「インディケータ」⇒「オシレーター」⇒「Average True Range」をチャート上にドラッグアンドドロップします。

その後、設定ウインドウが表示されます。

ATRのパラメーターを設定
設定ウインドウでは下記を決めます。

期間:14日がデフォルト設定

オシレーター系インジケーターは14日間を使うケースが多いです。

スタイル:カラーが変更できます。

線種:線の太さなどが変更できます

線を太くしますと描画されるラインが太くなります。

スタイルは点線、実線、破線などが選べます。

ATRの計算式

ATRは設定した期間の、TRの平均値を示しています。
期間を14日に設定した場合には、14日分のTR平均値をサブウインドウにラインで描画します。

■1日の最大の値動きTR(True Range)を計測する
①当日の高値と前日の終値の差 =当日の高値-前日の終値
②前日の終値と当日の安値の差 =前日終値-当日安値
③当日の高値と当日の安値の差 =当日の高値-当日の安値
最も大きいもの =TR
■TRの平均値を計算
ATR = TRのn日間の指数平滑移動平均値

・値が高いほど⇒ローソク足の上下の値幅は大きい。
・値が低いほど⇒ローソク足の上下の値幅は小さい。

「平均的な1日の値動き」を計算するために、1日どれくらい価格が動くかを調べ、それの平均値を出すという計算方式です。
ATRが高水準となる場合は、上昇下降にかかわらず値動きが激しく、マーケットが不安定な状況であることを表すことになります。
ATRのラインの動きは価格の変動を表しますが、価格の上げ下げの方向性は示しません。

上記画像はUSD/JPY日足チャートのサブウインドウにATRを表示させました。

白色の四角に囲まれた部分は、価格の値幅(ボラティリティー)が小さいレンジ帯になります。
ATRのラインは底辺で推移します。

青色の四角に囲まれた部分は、価格の値幅(ボラティリティー)が拡大した値動きの激しい位置になります。
ATRのラインは上方で推移します。

上記チャート画像をご覧いただけますと分かりますが、強い上昇相場が始まり、ATRラインも上昇したのを確認してエントリーをした際に、ATRラインは更に上昇を続けていても価格は急下落に転じてしまうケースは珍しいことでは無く、必然的に発生します。

そして、価格が高値圏に上昇して来て高値でレンジ相場になりますと、ATRは底辺にて推移をします。
価格が高値圏、安値圏どの位置にいましても、値幅(ボラティリティー)が縮小しますと、たちまちATRは下方へ移動しラインを描きます。

ATRを使った売買方法

では、ATRを使ってトレードをする方法を書いて行きます。
前項で書きましたが、価格が上昇・下降にかかわらず変動しますと、ATRのラインは上昇をしますので、売買サインには向いていません。

売買のサインには移動平均線(EMA)を使います。
下記画像はUSD/JPY日足チャートに、ATRをサブウインドウに表示させ、EMA12日(赤色線)とEMA26日(黄色線)を描画させています。

USD/JPY103.676円(水色水平線)でEMA12日(赤色線)とEMA26日(黄色線)がゴールデンクロスとなり、ロングエントリーをします。
その時のATRの値は0.4487(水色水平線)でした。

この状態でリスクリワード1:3の設定でロングエントリーをします。
利益確定決済位置と損切設定位置を決めます、

ATRの数値は、計算式からお分かりいただけると思いますが、相場の現在の平均的な動きを示しています。

また、ATRの値を3倍したレート位置が、相場の勢いの転換のきっかけになるケースが多いです。
損切決済位置はエントリー位置USD/JPY103.676円にATRの数値を3倍したものをマイナスします。
利益確定決済位置はリスクリワード1:3に設定しますので更に3をかけます。

ATRを利用したエントリーとクローズポイント
USD/JPYロングエントリー 103.676円
ATRの数値 0.4487
USD/JPY利確ポイント 107.714円(0.4487×3×3+103.67)
USD/JPY損切ポイント 102.324円(103.67-0.4487×3)
利益確定決済での収益 +403.8pips
損切決済での損失 -135.2pips

※リスクリワードは1:3で無くても構いません、1:2でも1:1でも効率の良い数値を設定して下さい。

ATRとMACDを併用してみる

前項のチャートを見る限り、EMA12日(赤色線)とEMA26日(黄色線)のゴールデンクロスでは、エントリーが遅くなり、クローズは早過ぎるように見えます。
※EMA12日EMA26日のゴールデンクロスはMACDのゴールデンクロス位置です。

そこで、MACDとシグナルのゴールデンクロス位置の方が先になりますので、それを検証してみます。

①の赤色縦線●位置102.324円が、MACDとシグナルのゴールデンクロス位置になり、ロングエントリーをしますが、この位置は先のATRで決めた損切位置と同じになります。

②と③の水色点線位置は、ATRで決めたロングエントリー位置と利確位置になります。
④の赤色縦線●位置は、MACDの利確位置108.926円になります。
更に、⑤の赤色縦線●位置まで引っ張りますと110.345円になります。

MACDを利用したエントリーとクローズ位置
USD/JPYロングエントリー 102.324円
USD/JPYクローズポイント 108.926円
利益確定決済での収益 660.2pips
更に利確を伸ばす 110.345円
利益確定決済 802.1pips

MACDを併用しますと、ATR単独利用の場合よりも400pips利益が伸ばせます。

相場の勢いを表すATRとADXを比べてみた

価格が上昇しても下落でも描くラインが上昇するインジケーターは、代表的なものとしてADXが有ります。
ここで比べてみます。

・ADXは黄色のラインがADXで、方向性が分かる様に、DMIにしました。
・ブルーラインの上昇は価格の上昇、ピンクライン上昇は価格の下降を表します。
・赤枠内は価格に変動がみられる地帯で、白枠内はレンジ帯になります。
ATRとADXどちらも価格のボラティリティを捉えて、ラインで描画をしますが、変動のタイミングが異なります。
①の赤枠内は価格とADXは緩い範囲で上下動を繰り返していますが、ATRは白枠となりラインが底辺で推移しているレンジ帯です。
②の赤枠内は価格・ATR・ADX全てが激しく反応をしております、ADXは-DIが上昇し下落を表しています。
③の赤枠内は価格下落とADXは上昇をしていますが、ATRは白枠となりラインが底辺で推移しているレンジ帯です。
④の赤枠内は価格・ATR・ADX全てが緩く反応をしております、ADXは+DIが上昇し上昇を表しています。
⑤の赤枠内は価格は緩く下落から上昇しADXは緩く上昇していますが、ATRは白枠となりラインが底辺で推移しているレンジ帯です。
⑥の白枠は価格・ATR・ADX全てがレンジ帯です。
⑦の赤枠内は価格下落後上昇となりADXは上昇をしていますが、ATRは白枠となりラインが底辺で推移しているレンジ帯です。
⑧の白枠は価格・ATR・ADX全てがレンジ帯です。

まとめ

ATRは一定期間のボラティリティの変動幅を、平均化してラインで描画をすることで、相場の勢いをも教えてくれますが、価格の方向性を示してくれません。
利確位置や損切の設定に役に立ちますので、エントリーにはMACDなど他のオシレーター系指標を併用すると効果的かと思います。

ATRとADXを比較した場合は、価格に沿って反応を示したのは、ADXになりました。
ATR・ADXをご利用される場合は長期にチャートで検証をされた後に、使われることをお勧めいたします。