仮想通貨会計ルール正式決定について~企業会計基準委員会の決定より

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昨年2017年12月に草案を公開してから仮想通貨の保有や売買をした際の会計処理について議論がされてきましたが、企業会計基準委員会(ASBJ)は4月9日、企業が仮想通貨を利用する際の会計ルールを正式にまとめました。

14日付で企業会計基準委員会の公式ホームページでも内容を確認することができるようになりました。

実務対応報告第38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」の公表

期末に時価を活発な市場における価格をもとに損益計上

活発な市場とは継続的に価格情報が提供される程度の流動性をもつ取引所が存在するという、かなり曖昧になっています。

またこの活発な市場の中でも特に取引量の大きい仮想通貨交換所における取引の時価をもとに期末評価をします。

企業は取引量の多い交換所の価格で貸借対照表(BS)に計上後、期末に時価で評価し直し、差額を損益として計上する形になっています。これは取引の検証をするマイニングも対象となっています。

この会計基準は2019年3月期から適用となっています。

ICOは除外

2月22日に企業が自社で発行した仮想通貨の会計ルールは実態を網羅的につかめていないため当面定めないとしており、ICO(新規仮想通貨公開)は今回対象から除外され、今後ICOの現状を見つつ検討がされるとなっています。

会計基準の企業に与える影響 ―企業の実態がつかみやすくなる点について―

これまで仮想通貨は「簿価」評価をして損益計算をしてきました。簿価の計算では資産として扱っていたため「取得価額 ― (マイナス)機関減価償却費」で計上することになり、価格変動が大きい仮想通貨において価格変動を織り込めない会計システムになっていました。

それを時価評価を導入することにより、価格変動を織り込んだ損益計上をすることが可能になりました。これにより企業の貸借対照表や損益計算書でより企業の実態をつかみやすくなり、企業としてはステークホルダーたちへの説明が楽になるようなメリットがあります。

会計基準の企業に与える影響 ―企業売却・買収について―

企業に与える影響としては納税の仕方に関してもありますが、企業価値を算出する場合に影響する可能性があります。

2017年ソフトバンクがフォーレスト・インベストメントの買収を決めた時にフォーレストはビットコインを大量所有していましたが、ソフトバンクはビットコインの資産価値をゼロとしていました。

しかし2017年は仮想通貨元年と言われ、仮想通貨が急騰した年で元々フォーレストの590万ドルほどだったビットコイン資産が、買収を決定した時には約2200万ドルほど。その後も価格が伸びていったため1BTC=6600ドルで計算しても、1億4200万ドルに達し、買収決定時から企業価値が4%も高まったことを意味します。

今後仮想通貨の会計ルールが整備されるにつれ、買収・売却するときを検討する場合にビットコインの価格の影響を受けることになる可能性は大いにあると考えられます。

まとめ

ICO関連の税制がない状態ではありますが、企業にとって今回の会計基準の決定によりより企業の実態をステークホルダーたちに説明しやすくなるため、仮想通貨への前向きな参入に繋がる可能性が出てくると思います。

またこれらの会計基準がグローバルに決定されるにしたがって、企業の売却・買収の戦略が変わっていくことが予想されます。

今回この議論があることに関して、社会が仮想通貨の資産価値を見直し始めている動きがあることが推察されます。今後税制が整備されるにつれ実社会における仮想通貨の利用が進んでいくことが予想されます。