ビットコインを支える承認アルゴリズム、プルーフオブワーク(PoW)とは?

0
31

今でこそ仮想通貨はそれなりに有名になってきており、ニュースなどでも見かける機会が増えてきました。しかし、大体は仮想通貨の表面上の問題であるハッキングや金額に関するニュースなどが多く、仮想通貨と言う仕組みに使われている技術やシステムに関して取り扱われる事はあまり多くありません。

仮想通貨の本当の真髄はその作られているシステムや技術にあります。そこで今回はそんな仮想通貨を支えている技術である「PoW」と呼ばれるシステムを紹介します。

PoWとは

「PoW」とはプルーフオブワークの略であり、ビットコインなどの仮想通貨で採用されている仕組みで、膨大な計算量を計算しなければいけない作業を成功させた人が取引の承認者となり、新たなブロックをブロックチェーンに繋ぐ権利を得られる仕組みのことを言います。

この解説だけで理解できる人は、すでに仮想通貨に関してかなり詳しい人かと思います。しかしながら仮想通貨の仕組みを深く理解していない人にとっては難しいことなので、これから詳しく説明していこうと思います。

そもそも仮想通貨の技術は、「ブロックチェーン」という技術に支えられています。ブロックチェーンとは、仮想通貨の取引データ技術のことを指します。取引のデータを「トランザクション」と呼び、複数のトランザクションをまとめたものを「ブロック」と言います。

このブロックが連なるように保存された状態が「ブロックチェーン」です。ブロックチェーンは“非”中央集権となっており、分散して管理されるということになっており、仮想通貨を利用している全てのユーザーのコンピューターに保存されます。

法定通貨であれば銀行のように特定の管理機関がありますが、ブロックチェーンを利用している限り特定の管理機関がないため、権限が一ヶ所に集中するという事はあり得ません。

しかし、ブロックチェーンには中央の管理者が存在しないため、取引が正しいのかどうかを誰かが判断しないといけません。誤った取引や不正な取引が行われていては信用問題に関わってしまうため、しっかりとしたリスクヘッジが必要となります。

そのブロックチェーン上での取引が確かなものか取引の整合性をチェックする方法のことを「コンセンサス・アルゴリズム」と言われており、その中の種類として、「PoW(プルーフオブワーク)」や「PoS(プルーフオブステイク)」と呼ばれるものがあります。
※PoSについては後述します。

PoWは「ワーク」と言う文字が入っている通り仕事量、つまりはパソコン(CPU)の計算量に応じて取引の整合性をチェックする人を決めるという仕組みになっています。

この検証はかなりのコストとパワーのあるパソコン等が必要であり、それらを用いて取引内容などをブロックチェーンに記録したりする膨大な計算を行います。

この検証作業のことをマイニングと呼び、これを成功させた人には仮想通貨の報酬が支払われると言うシステムになっています。そしてこの時に生まれる仮想通貨は新規発行枚数として加算され、仮想通貨の市場に出ていくものとなります。

PoWはビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨に採用されており、仮想通貨の中心核であるビットコインに採用されたことから「コンセンサス・アルゴリズム」が主流化しました。

その他のコンセンサスアルゴリズム

「PoW」というコンセンサス・アルゴリズムについては理解したかと思いますが、他にも種類があり、それぞれ特徴もあります。

PoS(プルーフオブステイク)

まずは「PoS(プルーフオブステイク)」です。こちらはパソコン(CPU)の処理能力に関係することなく、そのコインを保有している量に応じて発言権が付与されるという仕組みになります。コインの保有量とコインの保有期間を掛け算で表した値が大きければ大きいほど簡単にマイニングを行うことができるという設計になっています。

こちらはエイダやネクストという仮想通貨で採用されています。また、現在はPoWを採用しているイーサリアムも今後はPoSに移行する予定となっています。

PoI(プルーフオブインポータンス)

続いては「PoI(プルーフオブインポータンス)」です。こちらは参加者の仮想通貨市場に対する重要度に応じて発言権が付与されます。その重要度というのは、コインの「保有量」と「取引」によって決定します。この2つを見て評価し、発言権を付与するという流れになります。

いかにして様々な人と仮想通貨の取引を行ったのか、つまりは仮想通貨の流動性を高めれば高めるほど良い評価を得るということになります。こちらのコンセンサスアルゴリズムはネムに採用されています。

PoWのメリットとデメリット

それではこういったコンセンサスアルゴリズムがいくつもある中で、PoWがビットコインなど主要の仮想通貨に採用されている強みは何なのでしょうか?

メリット

PoWのメリットは違法アクセス等による取引記録の改ざんに強いということです。

先ほど説明したようにPoWにおいて必要なのは膨大な計算量となっています。そして膨大な計算を行うためには膨大なコストをかけて、とてもパワーのあるCPUを使用しなければいけません。

しかしブロックチェーンでは複数の取引を1つのブロックにまとめて承認することにしており、より承認作業を難しい計算問題にすることで簡単に発言権を持てないようにしています。

この計算問題というものはブロックチェーンの中のブロック内にある「ハッシュ値」というものを探していくという計算になっています。

このハッシュ値ですが、一定に並べられた文字列がとても難解となっており、人間が総当たりで順番に計算していっても解けるような問題ではありません。

パソコンに任せて計算するしか見つけることができませんが、どんなにハイスペックなパソコンでも回答するのに10分はかかってしまうというほどの膨大な計算量となっています。

不正に取引を行い、ブロックを生成しようとするという事はこの計算を行っている世界中のコンピューターの計算能力と勝負をし、上回る必要があるということです。

不正にブロックを生成する仕事量を考えると、そんなずるい事はせずにマイニングに普通に参加して報酬を得た方が確実に簡単と言えるでしょう。これがPoWの改ざん不可能であり、不正が起きないと言われている原理です。

デメリット

それでは逆にPoWのデメリットは一体なんなのでしょうか。

まず、PoWのメリットとして膨大な計算量を使い、不正アクセス等による取引の改ざんを行わせないという事を前述しましたが、ここに思わぬ落とし穴があります。

CPUを使って膨大な計算をするという事はそれだけCPUにパワーが必要となり、負担もかかってしまいます。つまりはこれにかかる電気代も想像もつかない位の値になってしまうということです。

一説では小さな国と同じ位の電気代を消費しているとも言われており、個人でその電気代を払いきる事はほぼ不可能となっており、個人でマイニングに参加するのはあまり現実的な話ではないです。

さらに、この電気代の問題が波及して大きな問題を生んでいます。

電気代がとても高く、個人でのマイニングの参加はほぼ不可能と説明しました。そこでマイニングを行いたい人たちで集団を作り、みんなでマイニングを行おうという動きが起きています。

現状ですが、この集団が力を持ちすぎており、もともと「非中央集権化」を目指して作られた技術が「中央集権化」のリスクを持っているということになっています。これを「51%攻撃」と呼んでいます。

コンセンサスアルゴリズムの将来性

コンセンサスアルゴリズムについていくつか紹介しましたが、今後の将来性について説明します。現在はPoWがその頑丈さから利用される事も多いですが、そのPoWのデメリットを埋めているのがPoSになります。PoSはCPUに膨大な計算を行わせる必要がないため、PoWのような電気代はかかりません。

また、51%攻撃を仕掛けるためには実は過半数のコインを所有している必要があるのですが、PoSにおいて過半数のコインを所有するという事はかなり膨大なコストがかかってしまうということになります。

つまり、PoWの時よりも「51%攻撃」を行う事ははるかに難しいことで、51%攻撃の可能性は大きく減ります。PoSは非中央集権化と共にあるコンセンサスアルゴリズムと言っても良いでしょう。これらのことを踏まえて多くの仮想通貨に採用され始めているのも事実です。

しかし、PoSにもデメリットはあります。PoSではコインの保有量に応じて、発言権が付与されるということであるので、もちろんコインを大量に持っている人はどんどんマイニングを行うことができ、逆にコインをあまり持っていない人は何もできません。

つまり、格差が大きくなってしまうというデメリットがあります。もちろん多くのコインを保有するということがPoSの世界ではかなり有利になってしまうため、仮想通貨を取引する人も少なくなってしまい、流動性があまりなくなってしまうこともあり得るでしょう。

これに対して、PoIはPoSのデメリットに対応しており、富裕層が有利になってしまうというデメリットに対して、PoIは流動性が重要視されているため貧富の差が極端に広がる事はないです。取引を様々な人と行いうまく仮想通貨を運用していれば、PoIの重要度としては高い存在になるでしょう。

一方でPoIの仕組みでは、コインを報酬として受け取ることを「ハーベスティング」と呼んでいます。このハーベスティングに参加する権利として、ある一定量のコインを保有している必要があります。

結局はある一定のラインより上の人しか新しくコインを報酬として受け取ることができないため、富裕層が力を持ってしまうのではないかという問題があります。

コンセンサスアルゴリズムにもそれぞれメリットとデメリットがあり、その特徴を見極める必要があります。

また、どの通貨にどの技術が使われているのか、どんな改善などを行っているのか、などはそれぞれの通貨のロードマップなどを見れば把握できます。気になるのであればいちど自身が持っている通貨など調べてみるのも良いのではないでしょうか。

まとめ

今回は仮想通貨を支えている技術であるPoW(プルーフオブワーク)について説明しましたが、実際に単語は聞いたことがあるものの内容についてはあまり知らない・・・と言う人も多かったのではないでしょうか。

しかし、こういったシステムや技術などを調べてみると実際に役に立ったり、案外ハマってしまったりと自分のプラスになることが多いです。

今回の記事で興味を持たれた方などは書店などに行って実際にブロックチェーンやコンセンサスアルゴリズム等の本を購入してみると良いかもしれません。